ガソリン196円は便乗値上げ?中東情勢で70万減った投資家が調べてわかったこと
イラン攻撃でホルムズ海峡が封鎖、原油+43%、日経-7.8%。ガソリン便乗値上げに生活を直撃されながらも積立設定を変えなかった8年目インデックス投資家の判断記録。
2月28日の夜、スマホの通知でイラン攻撃を知った。
娘を寝かしつけた後、リビングでニュースを開いた瞬間の、胃のあたりがキュッと縮む感覚。関税ショックのときとは質が違った。爆撃の映像が流れてきて、次に頭に浮かんだのが「明日の相場やばいな」だった自分に少し嫌気がさしたのを覚えています。
何が起きたのか、時系列で振り返る
2月28日、米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始しました。翌3月1日にはハメネイ師の死亡が報じられました。
そこからの展開が速かったです。
ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に入り、イランの新指導者は「閉鎖を継続すべき」と声明を出しました。トランプ大統領は「必要ならいくらでもやる」と発言し、長期化の空気が一気に広がりました。

数字で見ると、2週間でこうなっています。
WTI原油は2月27日の67ドルから3月13日に95.91ドルまで跳ね上がりました。43%の上昇です。日経平均は58,850円付近から53,819円へ7.8%下落し、3月9日には歴代3位の下げ幅となる-2,892円を記録しました。S&P500は6,878から6,691で、下落率は2.7%。ドル円は155円台から159.69円へ、2024年7月以来の円安水準です。
自分の総資産は、この2週間で約70万円減りました。
S&P500が意外と踏ん張っている理由
ここで「あれ?」と思った人もいるかもしれません。
日経平均が7.8%も落ちているのに、S&P500は2.7%しか下がっていません。年初来で見るとほぼ横ばいです。戦争を始めた当事国の株価が一番マシという、ちょっと皮肉な状況です。
円安が進んでいるので、ドル建てで見た下落を円建てが吸収している面がある。自分のポートフォリオは米国株インデックスが中心なので、円安がクッションになって「思ったほど減ってない」というのが正直な感想です。日本株は少ししか持っていないから、日経の歴史的な下げも直接的なダメージは限定的でした。
70万減ったのは事実だけど、関税ショックの700万やS&P500の含み益200万減と比べると、金額だけ見れば軽傷の部類に入る。
ただ、今回は金額の問題じゃない。
ガソリンが先に来た
株価の下落は、正直もう慣れてきた部分があります。8年やっていれば、赤い数字を見ても「ああ、またか」で済みます。
今回キツいのはガソリンです。
3月9日時点でレギュラー161.8円。4週連続の値上がり。そして3月12日、近所のスタンドで196円の表示を見たとき、さすがに声が出ました。元売り各社は3月12日から卸売価格を26円引き上げている。
ここが過去の暴落と決定的に違う点で、株価が下がるだけなら「含み益が減った、まあいいか」で耐えられる。でもガソリンが上がるということは、物流コストが上がり、食品が上がり、電気代が上がり、生活のあらゆるところに波及するということです。株のマイナスと生活コストの上昇、二重パンチ。
しかも反応が速すぎる。
原油価格が上がった瞬間にガソリンの値段が跳ね上がった。ひろゆき氏がXで指摘していたけど、「実際に原油不足になるのは3月21日からで、今のは便乗値上げでは」という見方には正直うなずいてしまいます。原油が下がったときは「在庫があるから」と言って値下げしないくせに、上がったときは即座に転嫁する。あの非対称さは何なんでしょう。

ガソリンの値段はすぐに現れたけど、他のところはこれからジワジワ来ると思っています。物流費が上がれば、スーパーの棚の値札が変わるのは数週間後。たぶん将来の値上げを織り込んで、今の株価が下がっている面もある。
政府は3月11日に「イラン情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置」を発動して、ガソリンを170円以下に抑える方針を出しました。3月19日出荷分から補助金を支給するらしい。ただ、補助金で抑え込んでも原油価格そのものが下がるわけじゃないので、根本的な解決にはならない。ホルムズ海峡が開かない限り、この圧力は続きます。
日本の原油輸入の約9割がホルムズ海峡経由。備蓄は254日分あるとはいえ、「254日で戦争が終わる保証」はどこにもないわけで。
積立設定は、1ミリも動かしていない
で、自分はどうしたか。
積立の設定は一切変えていません。売ってもいません。
2018年からずっとそうしてきたし、今回も同じです。コロナも関税も乗り越えてきたこの設定を、ここで変える理由がない。
むしろ、今回の局面で改めて思ったことがあります。自分が一括買いをしないスタイルを続けている理由は、本当に今回みたいな出来事があるからです。
2月27日の時点で、翌日にイラン攻撃が始まると予想できた人がどれだけいたか。たぶんいません。予想外のことが起こりすぎます。だからこそ、タイミングを計らない積立がいい。1月に一括で突っ込んでいたら、今頃もっと大きなダメージを食らっていたはずです。
毎月37万を淡々と積み立てる。上がっても買う、下がっても買う。退屈だけど、退屈なものが一番強いと8年間で学びました。
過去の暴落と何が違うのか
関税ショックは「一発ドカン」型だった。衝撃は大きいけど、原因と結末がある程度見える。S&P500の含み益が200万減ったときも、「耐えれば戻る」と思えた。
今回は嫌な要素がいくつも重なっている。
まず、終わりが見えない。戦争はいつ終わるかわからない。関税は政策だから撤回のタイミングがあるけど、軍事衝突はそうはいかない。
次に、生活に直撃している。株価の下落は証券口座の中だけの話だけど、ガソリンの高騰は毎日の通勤で、スーパーの値札で、目に見える形で財布を圧迫してくる。
そして長期化した場合の影響が読めません。ホルムズ海峡が数ヶ月閉じたままだったら、日本経済はどうなるのか。正直、想像がつきません。

でも——嫌な要素が多いからといって、やることは変わりませんでした。自分でも意外でしたが、不安の種類が増えるほど、逆に腹が据わるものです。
予測不能な要素が増えれば増えるほど、「予測しない投資」の合理性は上がります。自分がやっているのは、市場全体の長期的な成長に賭ける積立投資であって、来月のイラン情勢を当てるゲームじゃない。当てられないものを当てようとするから、判断を誤る。
この2週間の正直な気持ちはNoteに書いています。ブログでは書けない、もっと生々しい感情の部分を。
戦争は「終わるもの」じゃなかった
ロシアとウクライナの戦争が始まったとき、「数ヶ月で終わるだろう」と思っていました。もう2年以上続いています。
今回のイランもそうなるかもしれない。というか、世界のどこかでは常に戦争が起きていて、それが長く続くものだと、ようやく受け入れ始めています。
関税は政策だから撤回がある。金融危機は時間が解決する。でも戦争は、当事者が「やめる」と言わない限り終わらない。そしてその「やめる」がいつ来るかは、誰にもわからない。
この「終わりが見えない」という感覚に、投資家として慣れるしかないんだと思います。慣れるというか、織り込む。世界のどこかで紛争が起きていることを前提に、それでも市場は長期で成長してきた。その事実に賭け続けるのが、自分のスタイルです。
ホルムズ海峡がいつ開くかはわからない。でもわからないまま、積立は続きます。
積立投資家にとって、今回の教訓
一括買いはしない。この判断が正しかったと、今回ほど実感したことはありません。
2月に全額突っ込んでいたら、3月の暴落をフルで被っていた。積立なら、3月の安い価格でも自動的に買い続けている。回復したときに、この安値で拾った分がリターンを押し上げてくれる。理屈はわかっていたけど、身をもって体感するのは初めてかもしれない。
もう一つ。生活防衛資金の大切さを痛感しています。ガソリンが上がり、食品が上がり、生活コストが目に見えて増えている。もし手元にキャッシュがなかったら、「投資を崩して生活費に充てるか」という最悪の選択を迫られていたかもしれません。うちは1年分の生活費を別で確保しているから、その心配はない。でもギリギリまで投資に回している人は、今けっこうキツいんじゃないかと思います。
8歳の娘が「ガソリンってなんで高いの?」と聞いてきた。「遠い国で戦争してるからだよ」と答えたら、「じゃあ戦争やめたらいいのに」と返された。本当にそうだ。でもそうならないから、自分にできることをやるしかない。
これから何が起きるか、わからない
ホルムズ海峡がいつ開くのか。原油がどこまで上がるのか。ガソリン補助金がいつまで持つのか。全部わからない。
わからないけど、わからないまま、積立は続ける。
たぶん来月も再来月も、朝起きてニュースを見て、証券口座を開いて、数字を確認して、閉じる。それだけの日が続くと思います。70万減った事実より、ガソリン196円の表示のほうが胃に来る。生活に響くお金の痛みは、含み損の痛みとは種類が違います。
8年前に積立を始めた自分に言えることがあるとすれば、「お前が想像もしてなかったことが何度も起きるぞ。でもやることは変わらないから安心しろ」でしょうか。
予想外のことが起こりすぎる世界で、予測しない投資を続ける。矛盾しているようで、たぶんこれが一番まともな戦略です。
※この記事は個人の投資体験の記録であり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資は元本割れのリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。