住宅ローン残り2500万。繰り上げ返済したい気持ちと0.6%を手放せない理由
住宅ローン金利0.6%で残高2500万円。繰り上げ返済すべきか投資を続けるか、ワイド団信から通常団信への借り換え経験も含めて8年間の判断を記録。
繰り上げ返済してスッキリしたい。その気持ちは、めちゃくちゃあります。住宅ローンの残高を見るたびに胸のあたりがざわつく感覚は、8年経った今でも消えていません。でも返さない。金利0.6%という数字が、感情にブレーキをかけ続けています。
この記事では、住宅ローンの8年間で実際に起きたことと、繰り上げ返済しないと決めた判断プロセスを書いています。心療内科の通院歴で団信に落ちた話も含めて、全部記録として残します。
8年前、3000万で住宅ローンを組んだ
住宅ローンを組んだのは8年前。借入額は3000万円でした。
当時は三菱UFJで借りるつもりで話を進めていました。金利も問題なさそうだし、メガバンクの安心感もある。住宅ローンの審査って、年収とか勤務先とか、そういう数字の話だと思っていました。ところが、ひとつ想定外のことが起きます。
団信の審査です。

心療内科に通っていたら、団信に落ちた
当時、仕事で挫折した時期があって、心療内科に通っていました。軽い気持ちで通った病院です。自分としてはちょっと調子を崩しただけという感覚で、まさかそれが住宅ローンに影響するなんて1ミリも考えていませんでした。
結果、通常の団信が通らない。
結構ショックでした。病気で落ちたのではなく、心療内科に通っていたという事実だけで落ちた。自分が思っている以上に、まわりは自分のことを不安定な人物だと捉えている。その事実を審査結果という形で客観的に突きつけられた感覚です。胸の奥がキュッと締まるような、なんとも言えない気持ちだったのを覚えています。
「軽い気持ちで通った病院でそんなところに影響が出るとは思ってなかった」というのが正直なところです。住宅ローンは元気なときに借りるべきです。たぶんこの記事でいちばん伝えたいのはこの一文かもしれません。
三菱UFJ vs ソニー銀行。ワイド団信の0.1%差
通常の団信が通らないとなると、選択肢はワイド団信になります。ワイド団信は引受基準が緩和されている代わりに、金利が上乗せされる仕組みです。
三菱UFJのワイド団信は+0.3%。ソニー銀行は+0.2%でした。
たった0.1%の差ですが、3000万円を30年以上借りると総額で数十万円変わります。当時のソニー銀行の変動金利は0.45%で、ワイド団信を足しても0.65%。三菱UFJだと0.3%上乗せで、ソニー銀行より高くなる。ソニー銀行を選びました。
ただ、ワイド団信にはひとつ弱点がありました。がん特約などのオプションがつけられない。通常の団信なら選べる保障が、ワイド団信だと外れてしまう。当時はそこまで深く考えていなかったけど、後からじわじわ気になるポイントでした。
ソニー銀行の金利が0.9%に上がった
変動金利は変動します。当たり前のことですが、ゼロ金利時代が長すぎて感覚が麻痺していた部分があります。
日銀の利上げが続いて、ソニー銀行の金利が0.9%まで上昇しました。0.45%で借りたときの倍です。ワイド団信の0.2%を足すと1.1%。しかもがん特約などのオプション保障はない。「この条件でこのまま払い続けるのか」と考え始めたのが1年くらい前のことです。
借り換えを調べ始めました。ちょうどその頃、PayPay銀行が借り換えキャンペーンをやっていて、金利条件が良かった。そしてもうひとつ、大きな期待がありました。
通常の団信に通るかもしれない。
心療内科の通院からは何年も経っています。団信の告知事項には「過去○年以内の通院歴」という期間があって、そこに該当しなくなっているはず。申し込んでみたら、あっさり通りました。
嬉しかった。8年前に突きつけられた「不安定な人物」というレッテルが、やっと剥がれた気がしました。借り換えの手続きよりも、通常団信に通ったという事実のほうがずっと大きかったです。

PayPay銀行での借り換え後の金利は約0.6%。通常の団信なのでがん特約などのオプションもつけられる。ソニー銀行の0.9%+ワイド団信の制約から解放されて、数字的にも精神的にもかなり楽になりました。
現在の残高は約2500万円。月々の返済は約85,000円です。
金利0.6%を返すか、年6〜8%で回すか
ここからが本題です。繰り上げ返済すべきか。
頭ではわかっています。0.6%の金利で借りたお金を急いで返す合理性は、数字上ほとんどありません。
ちょっと簡単に計算してみます。仮に手元に500万円あるとして、繰り上げ返済に使えば年間で浮く利息は約3万円です。一方、同じ500万円をオルカンやS&P500に入れた場合、年平均6〜8%のリターンとして年間30〜40万円。10倍以上の差です。
もう少しリアルな数字で考えると、残高2500万円を金利0.6%で20年返済した場合の利息総額はざっくり150万円くらい。対して2500万円分のインデックスが年平均7%で20年回ると、複利で約7,000万円になる計算です。もちろんこれは「期待値」の話であって保証はありません。リーマンショックみたいな年にはマイナス40%もあり得るし、10年塩漬けになる時期だってある。でも15年、20年のスパンで見れば、0.6%の金利を上回る確率はかなり高い。
8年間インデックス投資を続けてきた実感として、この判断は間違っていないと思っています。Excelでシミュレーションを何度も回しましたが、金利1%以下のローンを繰り上げ返済するシナリオで投資に勝てるケースがほとんど見つからなかった。
住宅ローンを「家賃の代わり」と考えるか、「不動産投資」と考えるかで見え方が変わります。自分は後者の考え方を採用しています。個人が金融機関から0.6%で2500万円借りられる機会は他にない。これは投資のレバレッジです。無理やり自分は不動産投資をしてるんだぞ、と思い込ませている部分もありますが、数字が味方してくれているうちはこの判断を続けるつもりです。
投資に回している金額を減らしてまで繰り上げ返済するのは、もったいない。金利1%以下は破格の安さです。この金利なら借りておきたい。投資家としての判断です。
金利2%台が分岐点。ただし、そのときの世界は今と違う
じゃあ金利がどこまで上がったら繰り上げ返済を考えるのか。
感覚的には2%台です。ここまでロジカルに考えてきたのに結局「感覚」なのかよ、と自分でもツッコミたくなりますが、正直なところ気持ちの問題です。2%台に乗ると「借金」の重さが心理的に変わってくる。月々の返済額にも目に見える差が出てくるはずです。
ただ、冷静に考えると2%台まで来ている世界は今とは全然違います。銀行の預金金利もかなり上がっているはず。現金を普通預金に置いておくだけでそれなりのリターンが出る状態です。そうなると、繰り上げ返済せずに現金を手元に持っておいたほうが有利な可能性もあります。
インデックス投資のリターンも金利上昇に連動して変わっているかもしれない。金利が上がるということはお金の価値が下がっていることでもあります。今の0.6%の世界にいる自分が「2%になったら返す」と決めつけるのは、たぶん正しくない。
そのときの状況に合わせて柔軟に考えたほうがいい、というのが今の結論です。結論というか、保留。利上げ後のお金の置き場所について書いた記事でも触れましたが、金利が動く世界では「固定のルール」より「そのときの数字を見て判断する」姿勢のほうが大事だと感じています。

住宅ローンは元気なときに借りろ
8年前の自分に声をかけられるなら、「本当に住宅ローンは元気なときに借りろ」と言いたいです。
軽い気持ちで通った心療内科が、まさか住宅ローンに影響するとは思いませんでした。通院歴があるだけで通常の団信が通らず、ワイド団信で金利が上乗せされ、保障のオプションも制限される。そのハンデを背負ったまま何年も返済を続けることになります。
今、住宅購入を検討していて、少しでも体調に不安がある人がいたら。住宅ローンの審査は年収や勤務先だけを見ているわけではないです。過去の通院歴も見ています。「ちょっと調子悪いだけ」と思って病院に行ったことが、数年後のローン審査で引っかかる。知らなかったでは済まない現実がそこにあります。
1年前に通常の団信にあっさり通ったときは、本当に嬉しかったです。でも逆に言えば、それまでの何年間かは余計なコストを払い続けていたわけで。0.2%の上乗せ分だけでも、3000万円に対して年間6万円。7年間で40万円以上です。この数字を見て正直に感じたことはNoteに書いています。
繰り上げ返済の綱引きは、たぶん終わらない
繰り上げ返済するかどうかは、たぶんずっと悩み続けます。金利0.6%が続く限り、頭は「返すな」と言い、気持ちは「返してスッキリしたい」と言う。
月々85,000円の返済を続けながら、浮いた資金をインデックスに回す。数字上はこれが正解のはずです。でも残高2500万円という数字を見ると「この借金がなければ」と思う瞬間がゼロではない。借金って、理屈はどうあれ気持ちが良いものではないので。
この綱引きに正解はないし、きれいに割り切れる日も来ない気がしています。
まあ、そういうものなのかもしれません。住宅ローンって。
※本記事は筆者個人の体験に基づく記録であり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。