うちの妻は占い師に「浪費家」と言われたらしい
付き合い始めた頃、妻が何気なく教えてくれた。
「昔、占い師に『あなたは浪費家だけど、お金は溜まるよ』って言われたんだよね」
正直、「浪費家」の部分にしか反応できなかった。え、この人浪費家なの?
僕は裕福ではない家庭で育ったから、節約が空気みたいに染み付いてる人間だ。コンビニで飲み物を買うかどうかで3秒迷うタイプ。そんな僕が、自称浪費家と一緒になることになった。
ただ、「お金は溜まるよ」の部分は今のところ当たっている。二人の資産は8年で5000万を超えた。占い師、すごいな。
節約が「正義」だった頃の僕
少し自分の話をする。
育った家庭は裕福じゃなかった。贅沢をした記憶はほとんどない。だから社会人になっても、お金を使うこと自体にどこか罪悪感があった。外食より自炊、タクシーより電車、新品より中古。節約は努力の証みたいなもので、お金を使わないことが「正しい」と本気で思ってた。
投資を始めたのも、その延長線上にある。40代に差しかかって、もう出世は見込めないと悟った。キャリアの挫折がきっかけで、会社の昇給に期待できないなら、自分でお金を増やす仕組みを作るしかない。NISAとiDeCoを本気でやると妻に伝えたら、「おー、良いかもね!」と。この軽さが妻らしい。
付き合い始めた頃から僕が証券口座を持ってることは知ってたし、普段ギャンブルもやらないから、「まぁ危険なことはしないでしょ」くらいの信頼だったんだと思います。

妻は「快適に生きたい」人だった
一方、妻のお金の使い方は僕とまるで違った。
普段の生活を快適に過ごすためには、ちゃんとお金を使う。ちょっと良いシャンプーを選ぶ。疲れたらタクシーに乗る。気持ちいい寝具には投資する。
最初は正直、違和感がありました。「え、それ必要?」と思うことが何度もあった。自分の物差しで「必要かどうか」を測ってしまう癖が抜けなかった。
でも、何年か一緒にいて気づいたことがあります。
妻は体調を崩さない。ストレスを溜め込まない。基本的にいつも機嫌がいい。一方の僕は、節約のために我慢を積み重ねて、その反動で衝動的に高い買い物をしたことがある。節約疲れからの散財。冷静に振り返ると、妻のほうがよっぽど合理的でした。
含み損にはノーリアクション。でも5万円の買い物は「報告して」
夫婦のお金の温度差で面白いのが、投資と日常の扱いの違い。
コロナが来たとき、含み損が膨らんだ。正直ヒヤッとしました。でも妻には言わなかった。言ったところでどうしようもないし、インデックスの積み立てなら下がってるときは安く買えてるとも考えられる。積み立て投資は「下がっても買い続ける」という仕組み自体が感情の安定装置になってくれます。個別株だったら夜眠れなかったと思う。
で、妻はその含み損のことを一度も聞いてこなかった。
まじで一度も。
含み損には完全に無関心なのに、普段の買い物で数万円のものを買うときは「報告してね」と言ってくる。最初は不思議だったけど、今は理解できます。妻にとって投資は「よくわからない長期のもの」で、日々の買い物は「今の暮らしに直結するもの」。関心の向く場所が違うだけです。
むしろ、この距離感が投資にはちょうどいい。横からあれこれ口出しされたら、不安に駆られて余計な売り買いをして損するパターンに陥ってたと思います。

FANGに突っ込もうとしたら、妻に止められた
一度だけ、妻が投資に口を出したことがある。
米国のテック株、いわゆるFANGの調子が良くて、「ここに集中投資を増やしたい」と考えた時期があった。リターンが明らかに良いし、もっとリスクを取ってもいいんじゃないかと。
妻に話したら、一言。
「そこまでしなくて良いんじゃない?」
投資に詳しいわけじゃない。理論的な根拠があったわけでもない。でもこの「なんとなく」の直感が、結果的に正しかった。今はFANGもやってるけど、オルカン(全世界株式)のほうが投資額は大きいです。もし妻に止められてなかったら、テック株に偏りすぎてたかもしれない。
普段ノータッチの人間が出す一言は、めちゃくちゃ刺さります。毎朝チャートを眺めてる人間より、距離を置いてる人間のほうが冷静だったりする。
「合わない」が「組み合わせ」に変わる条件
じゃあ、お金の価値観が違う夫婦なら誰でもうまくいくのか。たぶん、そうじゃない。
うちがうまくいってる理由を考えると、一つだけ明確なことがあります。お互いの資産状況をオープンにしていること。
何にいくら使ってるか、投資でいくら増えてるか(あるいは減ってるか)、全部見える状態にしています。僕が妻の口座も含めて家庭のファンドマネージャーとして一元管理しているから、家計全体の数字は常に把握できてる。価値観が違っても、数字が見えていれば「全体としては問題ないな」と納得し合えます。
逆に、お互いの状況がブラックボックスだったら、価値観の違いはそのまま不信感に変わると思う。
任されているということの影響も大きいです。妻の資産も含めて運用しているから、緊張感も責任感もある。でも上手くいったときの喜びは倍になる。動かせるお金が大きくなるから、複利の効果も加速します。夫婦で投資をするなら、お互いの資産状況を把握して、方向性だけは合わせておいたほうがいい。細かい銘柄選びじゃなくて、「長期で積み立てていこうね」くらいの大枠で十分です。

節約は手段であって、正義じゃなかった
8年やってきて思うのは、お金を「使わない」ことと「増やす」ことは別の話だということ。
僕は長い間、節約こそが正しいと信じてた。無駄を省いて、我慢して、その分を投資に回す。それが最適解だと。でも妻を見ていると、日々を快適に過ごしながらでもお金は増やせる。節約で体を壊したら本末転倒だし、ストレスで判断力が鈍れば投資の判断にも影響する。
夫婦のお金の価値観が合わないって、不安に思う人は多いと思います。でもうちの場合、合わないからこそバランスが取れている。家計簿を全公開している記事を見てもらえればわかるけど、食費20万という数字も、価値観の違いを受け入れた結果です。僕一人だったら節約にのめり込みすぎて、どこかで息切れしてた。妻の「快適に生きたい」が、僕のブレーキになってくれています。
占い師が言った「浪費家だけどお金は溜まる」。あれはもしかしたら、「この人はいずれ節約家と出会う」という意味だったのかもしれない。まぁ、占い師にそこまでの意図はなかっただろうけど。
※この記事は個人の体験に基づく情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。