朝4時、スマホの画面だけが光ってる
家族が寝静まった暗い部屋で、スマホの画面だけが光っている。
時刻は4時。娘と一緒に夜10時に寝るようになってから、自然と朝がこの時間になりました。もう4、5年はこの生活をしています。目覚ましが鳴る前に目が覚める体になってしまった。
起きてまずやることは、ダウとS&P500のチェック。布団の中でスマホを開いて、昨晩のニューヨーク市場がどう動いたかを確認する。自分の投資信託はこの二つの指数にほぼ連動しているから、ここを見れば自分の口座がどうなっているか、だいたい予測がつきます。
ドキドキするのは、実はこの瞬間です。証券口座を開くときじゃない。ダウとS&P500の数字を見るとき。結果がほぼ分かってしまうから、ここが一番心臓に来る。プラス2%とか表示されてると「よし」と思うし、マイナス1.5%とか見えた瞬間は胃がキュッとなる。まだ布団の中なのに。

5時に証券口座を開く
ダウとS&P500の状況を確認してから、5時頃に証券口座を開きます。
怖いけど見なきゃ、という気持ちが正直なところ。ワクワクしながら開くことは少ない。むしろ「今日はどれぐらいやられてるかな」という覚悟を決めてから開くことのほうが多いです。不思議なもので、投資を何年やっても、この「怖いけど見なきゃ」の感覚は消えない。
ただ、ダウとS&P500を先に見ているから、証券口座を開いたときの結果はほぼ予想通りです。ズレるとしたら為替ぐらい。円安に振れていれば予想よりプラスだし、円高に振れていれば逆。米国株のインデックス投資信託をやっている以上、為替の読めなさだけが朝のサプライズ要素になります。
増えてたら、5分間ニヤニヤする
口座を開いて、増えてたとき。
含み益がいくらか、前日からどれぐらい増えたか。その数字をマジマジと見る。5分ぐらいは見てると思います。別に何かを分析しているわけじゃない。ただ、数字が増えているのを眺めて、良い気分に浸っているだけです。
誰にも見せられない、朝4時のニヤニヤタイム。
これを「無駄な時間」と言う人もいるかもしれないけど、自分にとっては大事な時間です。だって他に誰にも言えないから。「昨日、含み益が30万増えてさ」なんて話、会社の同僚にも友達にもできない。
昔、お金の自慢ばかりしている上司がいました。で、周りがどう反応してたかというと、「じゃあ奢ってよ」とか、「仕事に危機感がないのか」とか、そういう方向にしか転がらなかった。お金の話をした瞬間に、人間関係が壊れるリスクがある。だから自分は、誰にも言わない。
その代わり、朝4時にスマホの前で一人でニヤニヤしています。
減ってたら、即閉じる
逆に、減ってたとき。
見る時間はめちゃくちゃ短い。「あ、今日はこんなもんか」と思って、すぐに画面を閉じる。見なかったことにする。
昔はこれができなかった。含み損を抱えていた時期は、減った数字を見て嫌な気分を引きずっていました。一日中、頭の片隅に「今日もマイナスだ」がこびりついていた。
でも今は違います。8年積み立ててきた結果、かなりの含み益がある。多少減ったところで、トータルではまだ大きくプラス。だから「今日は減ったな」で済む。翌朝にはもう忘れています。
これが短期売買だったら話は別です。個別株をやっていた時期は、自分の判断で売り買いしていたから、損をしたときの精神的ダメージが全然違った。「あのとき売っておけば」「なんで買い増したんだ」。自分の判断を責め続ける。一日どころか、何日も引きずった。
積立投資は、この「自分の判断」が介在しない。減っても「まあ、市場全体が下がってるだけだし」で済みます。感情のダメージが圧倒的に小さい。朝の口座チェックが精神衛生に悪くないのは、たぶんこの構造のおかげです。

一日で100万動く世界
資産が大きくなってくると、一日の変動額がすごいことになります。
一日で100万近く増えてた朝がありました。さすがにビビった。自分の月給より多い金額が、寝てる間に増えてる。この感覚は何度経験しても慣れません。嬉しいというより、「これ大丈夫か?」という気持ちのほうが先に来る。
逆に、一日で数十万減ってる日もあります。でも不思議なことに、増えたときほどのインパクトはない。損失回避の心理で言えば、減ったときのほうがダメージが大きいはずなんだけど。たぶん、含み益のバッファがあるから「トータルではまだプラスだし」と思えるんだと思います。
この「一日の変動額が月給を超える」という経験は、年収への執着を薄めてくれました。同期の昇進が気にならなくなったのと同じ理由です。年収の差なんて、資産の日々の変動幅に比べたら誤差みたいなもの。そう思えるようになったのは、朝4時に毎日数字を見続けてきたからかもしれません。
3000万を超えた朝のこと
朝の口座チェックで一番印象に残っているのは、資産が3000万を超えた朝です。
なぜ3000万かというと、住宅ローンの残高とほぼ同額だったから。
資産が住宅ローンを超えるというのは、自分にとっては特別な意味がありました。もちろん実際にはローンは残っている。毎月の返済は続いている。でも気持ちの上では、「最悪、家は自分のものだ」と思えた。借金以上の資産がある。何があっても家は残る。この感覚は、数字以上に大きかった。
あの朝は、奥さんに伝えました。
「資産が3000万超えたよ」
奥さんの反応は、「おー、良かったじゃん!」でした。自分が喜んでるのを見て、一緒に喜んでくれた感じ。数字そのものに対してというより、自分の喜びに反応してくれた。それがまた嬉しかった。
5000万を超えた朝も覚えています。でもインパクトは3000万のときのほうが大きかった。住宅ローンを超えるという明確なゴールがあったぶん、達成感が違った。5000万は嬉しかったけど、次は6000万、その次は、と終わりのないマラソンの通過点みたいな感覚でした。
そして今は6000万が直近の目標になっています。普段から「あといくらで届くか」ばかり考えている。こうやって次の数字を追いかけ続ける自分は、たぶん一生この繰り返しなんだと思います。いくら達成しても、次のゴールが出てくる。でもそれが嫌かというと、そうでもない。朝4時に「今日はどうかな」と口座を開く楽しみがある限り、マラソンの苦しさは感じません。
家族は何も知らない
この朝のルーティン、奥さんも娘も知りません。
たぶん、「パパはゲームとか、自分の好きなことをしてる時間」ぐらいに思ってるんだと思います。朝4時に何してるか聞かれたことは一度もない。
別に隠してるわけじゃないです。聞かれたら答えると思う。でも聞かれないし、自分からわざわざ言う必要もない。朝4時にスマホで証券口座を見てるなんて、言ったところで「ふーん」で終わる話です。

でも考えてみたら、この「誰にも知られていない」という状態こそが、自分の投資スタイルそのものなのかもしれません。派手なことはしない。誰にも言わない。朝4時に一人で数字を確認して、増えてたらニヤニヤして、減ってたら見なかったことにする。それだけの繰り返しです。
朝の5分で、一日が決まる
一つだけ実用的な話をすると、朝に資産を確認しておくと、日中に気にならなくなるという効果があります。
仕事中に証券口座をチラチラ見るのは、さすがにまずい。営業で客先に行ってるときに含み損が気になって集中できない、なんて最悪です。でも朝のうちに状況を把握しておけば、日中は「まあ、今朝の時点でこうだったし」で済む。朝の5分が、日中の精神的な安定につながっています。
投資をやってなかったら、この朝4時の時間は何に使ってたんだろう。たぶんもっと漫然と過ごしてたと思います。実際、この早朝の時間を使ってFPの資格を取ったりもしました。金融庁の「資産運用シミュレーション」で複利の効果を計算して、長期積立の威力を再確認したのも朝の時間でした。朝の時間を「自分の資産になる何か」に使おうという意識に変わってから、早起きが苦じゃなくなった。娘と10時に寝るのは、娘のためでもあるけど、自分の朝の時間を確保するためでもあります。たぶん、子どもがいなかったら夜更かしして朝ダラダラしてた。
結局、投資で一番やってることは何かって聞かれたら、「朝4時に証券口座を見ること」になります。売買は全くしてない。2018年から投資信託を一度も売ってない。やってることは本当にこれだけです。毎朝、数字を確認する。増えてたら5分眺める。減ってたら閉じる。以上。
地味すぎて記事にならないだろうと思ってたけど、書いてみたら意外と長くなりました。たぶん、この地味な朝の時間に、自分の投資家としての感情の全てが詰まっているからだと思います。喜び、不安、孤独、達成感。全部、朝4時のスマホの画面の中にある。
明日の朝も4時に起きます。ダウを見て、S&P500を見て、5時に証券口座を開く。増えてたら5分ニヤニヤする。減ってたら閉じる。たぶん10年後もこれをやっています。
※この記事は個人の体験に基づく情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。