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投資実践 · 8分で読める

チョコが値上げされる横で、ドル建て投信4,000万が過去最高になっていた違和感

チョコが値上げされる横で、ドル建て投信4,000万が過去最高になっていた違和感

近所のスーパーで、ずっと買っているチョコレートが値上げされていました。

正確には、値段はそんなに変わっていません。でも手に取ったらやけに軽い。袋を開けたら、中身がひっそりと減っていました。シュリンクフレーション、というやつです。

家に帰ってSBI証券のアプリを開いたのは別の理由です。月末のポートフォリオ確認。ドル建て投信の評価額は過去最高でした。物価高のニュースを見るたびに、自分の資産は反比例して増えていく。この4月、何度この光景を繰り返したかわかりません。

ドル円が159円台に張り付いている影響です。日本に住んで円で給料をもらっている自分の隣で、ドル建ての投資信託だけが別の地平線で増えていく。これは儲けなのか、それともリスクヘッジなのか。8年積み立ててきた40代の判断記録として、いったん書き出してみます。

持っている投信のだいたい8割がドル建て

うちの投信ポートフォリオは、ざっくり書くとこんな感じです。

銘柄評価額(おおよそ)
全米株式インデックス2,600万
オール・カントリー710万
FANG+340万
レバナス315万
NASDAQ100190万
合計約4,000万

総資産5,000万のうち約8割がドル建ての影響を受けます。残りは現金と日本株のごく少額です。

含み益はざっくり2,200万。8年積み立ててきた結果として、それなりの数字になりました。

ドル円が110円前後だった時期から始めているので、ざっくり計算すると、含み益のうち1,000万円超は「為替差益」の押し上げ分です。要は、円が安くなった分だけ、円換算の評価額が増えている。

数字としては嬉しい。ただ、書き出してみて自分でも少し戸惑う数字でもあります。

為替ヘッジ付きの投信を選ばなかった理由

ドル建て中心のポートフォリオを組むとき、「為替ヘッジあり」の投信を入れようとは思いませんでした。

理由はふたつあります。

ひとつは手数料です。同じ指数に連動していても、ヘッジあり版は信託報酬がじわっと高めに設定されることが多く、そこにヘッジコスト(日米の短期金利差)が上乗せされます。長期で持つほど、この差はボディブローのように効いてきます。

もうひとつは、積立投資との相性です。毎月コツコツ買い付けていくと、購入時の為替レートは時間をかけて平均化されていきます。ドル円が高い月もあれば安い月もある。15年、20年と積み立て続ければ、結局のところ「平均的なレートで買っている」状態に近づきます。

そこに為替ヘッジをかけると、コストを払い続けて為替変動の影響を消す代わりに、円安局面の上振れも全部削り取られます。長期積立では、コストとメリットのバランスが合わないと判断しました。

実際、銘柄を選ぶときに一度だけ、ヘッジあり版とヘッジなし版の信託報酬を見比べたことがあります。たしかSBIの一覧表だったと思いますが、同じ指数に連動しているのに、ヘッジありのほうが年0.1〜0.3%くらい高かった記憶があります(数字はうろ覚えです)。20年単位で見ると、この差は最終的な評価額で数百万円のオーダーになる、と電卓を叩いてうっすら冷えた感覚はいまも覚えています。

ヘッジは「為替変動が読める前提」で初めて価値が出る道具だと思っています。読めないのにヘッジするのは、保険のかけすぎに近い感覚です。8年間、為替を読もうとして毎回外してきた実績があるので、これからも読まないことに決めています。

判断としては、8年前に決めて、いまも変えていません。

スーパーの値札を眺める瞬間

8年前は円安なんて想定していなかった

正直に書くと、ドル建て中心になったのは「結果論」です。

8年前、投資を始めた頃のドル円はたしか110円前後だったと思います。当時の自分は「円安リスクのヘッジ」なんて1ミリも考えていませんでした。S&P500やオルカンを選んだのは、過去のリターンが優れていて、信託報酬が安く、分散も効いているから。それだけです。

円安で資産が増えるなんて、頭にありませんでした。

「あれ、これってリスクヘッジになっているな」と気づいたのは、物価が実際に上がり始めてからです。スーパーの値段が変わっていく、ガソリンスタンドの料金が入れるたびに上がる、外食のメニューが書き換えられている。生活のあちこちでインフレを体感する一方で、自分の証券口座は反対側で増えていました。

ここで初めて、ドル建て資産の意味が変わって見えました。

意図して選んだ判断ではありません。ただ、たまたま選んだ手段が、別の役割を担い始めていた。それに気づくのに8年かかりました。

「儲け」じゃなくて「ヘッジ」だと考えるようになった

頭の中の仕分けが、こう変わりました。

為替の動きドル建て資産日本での生活
円安に進む評価額が増える物価が上がり、家計は苦しくなる
円高に進む評価額が減る物価が落ち着き、家計はラクになる

どちらに振れても、家計と資産の合計はある程度バランスが取れます。

これに気づいたとき、円安で増えたぶんを「儲け」とカウントするのが急に間違っているように見えてきました。生活コストの上昇とセットで動いているなら、それは「ヘッジが効いた」だけ。差し引きで考えると、純粋な利益は思ったほど大きくありません。

逆に、もし全部を円建ての資産で持っていたとしたら、いまの物価高は丸ごと家計の圧迫として降りかかってきていたはずです。考えるとちょっと胃が冷えます。

「日本に住んでいるからこそ、資産の一部はドルに置いておく」。8年経って、ようやくこの一行の意味が腑に落ちました。

為替を考える朝のデスク

円高に振れたらどうするのか

「円安で増えた話なら、円高に戻ったら逆に損するんでしょ?」

これは妥当な突っ込みです。じっさい、ドル円が140円、130円、120円と戻っていけば、円換算の評価額は順調に減ります。

でも、行動としてやることは変わりません。売りません。積立も止めません。

理由はシンプルで、為替の方向は読めないからです。8年前に「これから円安が進む」と読めていなかった自分が、いまから「これから円高に戻る」と読めるはずもありません。読めない方向に賭けるよりは、長期で持ち続けて為替を平均化していくほうが性に合っています。

そして円高になったときは、家計のほうが軽くなります。スーパーの値札がじわじわ戻る、ガソリンが入れやすくなる、外食が前ほど痛くなくなる。娘の習い事や食費にじわっと効いてくる部分なので、地味ですが家計の体感はかなり違います。資産が減っても、生活が楽になる。これもバランスです。

書いていて自分で気づいたんですが、心の奥には「円高に戻ってほしいけど資産は減らしたくない」みたいな虫のいい願いもあります。両取りはできません。為替の方向を読める人がいたら、いまごろFXで億り人になっているはずです。

数字を見て感じたことはNoteに

数字とロジックでまとめると、ドル建て投信は「日本居住者にとってのヘッジ」として機能している。これが今日のブログの結論です。

ただ、数字を並べて出てくる結論と、それを見ている自分の気持ちは別物でした。物価高で困っている人が多いのに、自分の資産は反比例して増えている。この事実を、嬉しいともラッキーとも素直には言えない感覚があります。

スーパーで悩んでいる人の隣で自分だけ得をしている、みたいな感覚がずっとあって、うまく言語化できずにいました。ロジックでは整理し終わっているのに、胸の真ん中だけがしばらく動いてくれません。

その違和感の正体については、Noteのほうに書きました。数字より、数字を見たときの気持ちの話です。

結論

ドル建て投信を約4,000万持っている40代の判断記録としては、こうなります。

  • 為替ヘッジ付きは選ばない(手数料 + 長期積立との相性)
  • 円安で増えた分は「儲け」ではなく「ヘッジが効いた」と捉える
  • 円高に振れても売らない、積立も止めない
  • ポートフォリオの円安/円高比率はいじらない(読めないものは読まない)

8年前に深く考えずに選んだだけのドル建て中心の構成が、結果として日本居住リスクのヘッジに化けていた。これがいまの実感です。たまたまうまくいった、のかもしれません。だからこそ自慢ではなく、再現可能なロジックとして残しておきたかった。

ただ、ロジックの整理が終わったあとも、心のどこかで「それで本当にいいのか」が小さく鳴り続けています。判断としては落ち着いているのに、感情の方は落ち着いていない。たぶん落ち着く必要もないので、しばらくこのままにしておきます。

明日も給与は円で振り込まれて、スーパーの値札はちょっとずつ書き換わっていきます。証券口座のほうは、また月末に静かに見るだけ。

朝のコーヒーと静かな決断

※投資は自己責任です。為替変動は過去の実績が将来を保証しません。この記事は個人の判断記録であり、投資助言ではありません。

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