「資格でも取ったら」奥さんの一言で、FP2まで取った40代の話【FP連載① 動機編】
朝早起きしてゲームしてた40代資産5000万に奥さんが『資格でも取ったら』。FP3→FP2を取得した動機と、後輩相談で抱えていた『薄っぺらさ』の正直な記録。連載①動機編
朝の4時に起きて、コーヒーを淹れて、しばらくゲームをしていました。
仕事と関係ない、誰にも報告しない、結果も残らない朝のゲーム時間。それが当時の自分の習慣でした。資産はインデックス積立で気づけば5000万を超えていて、運用は完全に放置でいい状態。朝の自由時間は、まあそういう使い方もあっていいだろうと思っていました。
その背中を見て、奥さんが言いました。
「どうせ朝起きてゲームするだけなら、資格でも取ったら」
FP取得を決めたのは、たったこれだけの経緯でした。FP3級から始めて、最終的にFP2級まで取得しました。資産は順調に増えていて、読書もしていて、ジョギングもしていて、それでも朝の時間に何かを積み上げているかと言われたら、別に何もしていなかった。それが、よく見ている人にはバレていた、ということだけが事実でした。
「お金が好きだから、FPは向いてると思う」
奥さんは、そのあとに一言付け足しました。
「あなたはお金が好きだから、FPとかは向いていると思う」
これを聞いた瞬間、私はちょっと笑いました。「お金が好き」というのはどう考えてもポジティブな言い方ではありませんが、夫婦という関係性の中でだけ成立する観察として、確かに当たっていました。
別に金銭欲が強いわけではないつもりです。ただ、家計簿はExcelで自動化していて、株価のチェックを毎朝の儀式にしていて、税制改正のニュースは流し読みしなくて、シミュレーションを電卓で叩くのが好き。傍から見たら、これはお金が好きな人の特徴です。
「FPなら向いてるかも」というのは、たぶん間違っていない。ここは素直に納得しました。

即決した、たった2つの理由
奥さんに言われたその日のうちに、「やってみるか」と決めました。動きはかなり早かったと思います。
理由は2つしかありません。
ひとつは、仕事と関係ないから気楽だったこと。本業はIT系の営業で、評価にも昇進にもFPは関係ありません。落ちても誰にも怒られないし、取れたとしても会社からの手当が出るわけでもない。完全に趣味としての挑戦。プレッシャーなし、だから動けた。
もうひとつの理由が、書きながら少しちっぽけだなと自分でも思うのですが、後輩からのお金相談に答える時の「後ろ盾」が欲しかったからです。
40代になってくると、後輩や年下の同僚から「投資ってどう始めたらいいですか」「NISAは何選べばいいですか」と聞かれる機会が増えてきました。8年やってきた経験があるので答えられるんですが、答えながら自分の中で「これ、本当に合ってるかな」と平行で別のスレッドが走っているんです。経験則だけで答えていることに、自分が一番気づいていました。
経験だけで答えられない領域がある
もう少し具体的に書くと、答えに詰まっていた領域は、だいたい税金まわりでした。
「住宅ローン控除と医療費控除を両方使う時の確定申告ってどうやるんですか」みたいな質問。経験則だと「たしかこういう感じだったような」くらいしか言えません。自分がやった時は別の事情が混ざっていて、相手の状況とは違うかもしれない。なんとなくで答えるしかなくて、口に出した瞬間にちょっと冷や汗が出ます。
「ふるさと納税ってワンストップ特例使ってる場合は確定申告するとどうなるんですか」と聞かれたこともありました。自分は毎年確定申告でやっているのでワンストップを使ったことがなく、これも結局「使ってないから正確には分からないんだよね」と返すしかなかった。経験の外側に出た瞬間、自分の知識の輪郭が思ったより小さいことが見えます。
相続税の話に至っては、もう範囲外。自分が経験していないので、思考がそこまで広がらない。「すいません、それは本当にわからないです」と返すしかありません。
専門家じゃないんだから、それでいいじゃないか、と言われればそうかもしれません。でも、自分の中では引っかかっていました。年下に頼られる立場として、もう少し責任のある回答ができる自分でありたかった。
世間と逆の話 ── 経験は、資格で答え合わせをするもの
ここからが、自分の中の独自の理屈です。
世間ではよく「資格があっても経験がないと役に立たない」と言われます。投資の世界でも、FPの肩書きより実際の運用経験のほうが信用できる、みたいな論調があります。
その意見、自分は逆だと思っています。
経験だけだと、役に立たないんです。経験は自分が通った道のことだけを知っている狭い情報源で、それを誰かに使ってもらうには、体系化された汎用知識で答え合わせをする必要があります。資格の勉強で出てくる教科書的な情報は、その答え合わせのテキストのようなもの。
つまり、自分の中での順番はこうなります。
経験 → それを資格で裏付ける → やっと人の役に立てる
だから資格を取ろう、というのが、奥さんに「資格でも取ったら」と言われた瞬間に頭の中で組み上がったロジックでした。投資の経験は8年やってきているので、これに体系的な知識を一気に乗せれば、後輩に答える時の自分の声の出し方が変わるかもしれない。少なくとも、自分の中の冷や汗は減るはず。
ちなみにこの「経験 vs 資格」の感覚は、本業のIT営業の世界で長くやってきた影響もあります。
IT業界は資格社会の側面があって、技術的な話をしている時に、資格の裏付けがない人はなんとなく説得力に欠けて見える。「Azureの資格持ってます」と言う人と、「現場で何年もやってます」だけの人だと、こちらの聞き方が前者のほうに体重を乗せてしまう。情報の中身は同じだとしても、それが資格社会の現実です。
問題はここからで、自分はその「資格を見る側」でずっと仕事してきたわけです。つまり、お金の話で誰かに何かを語る時、相手が私を見ている目を、自分が一番想像してしまう。「資格ないのにあんなこと言って」と思われていないかな、という被害妄想に近い感覚。実際の聞き手はそこまで考えていないはずです。でも、自分の中の自分が、自分を一番厳しく見ていました。
だから、自分が「資格を持っている側」に立った時にやっと、お金の話を語る自分の声に体重が乗るんじゃないか。そういう半ば打算的な狙いも、正直に書くとあったということになります。

奥さんは、たぶん全部読んでいた
その日の夜、家族で夕食を取りながら、奥さんに「FP、やることにした」と伝えました。
奥さんはちょっとニヤッとしました。
「やっぱりやる気が出たか」
この言い方で、自分の中ですべてが繋がりました。奥さんは「資格でも取ったら」と提案した時、私がそれに乗ってくることをほぼ予想していたんです。朝のゲーム時間を観察して、ここに何かを乗せれば動き出すタイミングだと読んでいた。
夫婦というのは、たぶんそういう距離感です。本人より先に本人のことを知っている瞬間がある。
私は奥さんの掌の上で、自分で思いついたかのようにAmazonでFPの参考書を検索していたわけです。それでいいか、と問われれば、それはそれで悪くない気分でした。なんなら、ちょっと頼もしくすらある。
結論と次回予告
第1週(動機編)としての結論は、たったこれだけです。
- 朝のゲーム時間に奥さんから一言、即決でFPを取ることに決めた
- 表向きの動機は「気楽だから」「後輩相談の後ろ盾が欲しい」
- 裏のロジックは「経験は資格で答え合わせをするもの」という独自の順序
- 奥さんは全部読んでいた
なお、後輩相談に答えながら内心「薄っぺらいな」と感じていた話、IT業界の資格カルチャーが染み付いた自分の歪みについては、Noteのほうに書きました。ブログでは書きにくい本音の部分です。
ここから参考書を買って、FP3級から始めて、最終的にFP2級まで取りました。年単位の道のりです。次回からは勉強と受験のリアル、家族の時間との兼ね合い、思っていたより難しかったところを書いていきます。
- 第1週 動機編 ← いまここ
- 第2週 勉強・受験編 ── FP3取得まで
- 第3週 取得後編 ── FP2まで取って、結局何が変わったか
朝のゲーム時間は、奥さんの一言で参考書時間に変わりました。これがFPを取り始めた話の、入口です。
参考書を開いて最初の数ページで、自分の経験が想像していたよりずっと狭かったことに気づくのですが、その話はまた来週。
※本記事は個人の体験談です。資格取得を推奨するものではなく、判断は自己責任でお願いします。
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