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マインドセット · 11分で読める

相続税はみんな恐れすぎ。FP3を1ヶ月半で取った40代の発見【FP連載② 勉強編】

相続税はみんな恐れすぎ。FP3を1ヶ月半で取った40代の発見【FP連載② 勉強編】

前回、奥さんの「資格でも取ったら」の一言でFPを取ることに決めた話を書きました。今回はその続き、独学1ヶ月半でFP3に一発合格するまでの話です。LECの参考書1冊とYouTubeだけで何とかなりました。

参考書を開いて最初の数ページで、自分の経験が想像していたよりずっと狭かったことに気づきます、と前回書きました。今回はその「気づき」の正体と、勉強の途中で生まれた一つの独自の見解の話です。

先に結論を書いておきます。「相続税はみんな恐れすぎ」というのが、勉強を通じて自分の中で固まった主張のひとつです。普通のサラリーマン家庭は、たぶんほとんど対象外。だから怖がる時間があったらNISAの枠を埋めたほうが、人生で得るものは大きい。これが今日伝えたいいちばんのことです。

教材は2つだけ。1ヶ月半でFP3一発合格

使ったのはこれだけです。

  • LEC『FP3級合格のトリセツ 速習テキスト』(1,760円 / 482ページ)
  • YouTubeの「ほんださん / 東大式FPチャンネル」
  • 上記についてくる過去問・問題集

LECのトリセツ1冊で全範囲を一周して、わからないところや「もうちょっと噛み砕いて聞きたい」ところはYouTubeで補完する。これだけです。試験形式はCBT(コンピュータ受験)なので、自分の都合の良い日に受けられます。

期間はたしか1ヶ月半くらい、だったと思います。朝の4時に起きてゲームしていた時間を、まるごとFP3の勉強に置き換えました。1日に1時間か1時間半。朝のコーヒー1杯で参考書を開いて、章末問題を解いて、解説を読む。これを淡々と繰り返しました。

朝のコーヒーと参考書

結果は一発合格でした。

合格そのものはあまりドラマがありません。CBT試験なのでその場で結果が出ます。「合格」の文字を見て、まあそうだろうな、と思った程度でした。

ドラマがあったのは、勉強のプロセスの中身のほうです。

不動産と相続が「完全に未知の領域」だった

FP3で扱う6分野は、ライフプランニング、リスク管理(保険)、金融資産運用、タックスプランニング(税金)、不動産、相続事業承継、です。

8年インデックス投資をやってきた自分にとって、金融資産運用とライフプランニングは、おおむね知っていることの整理でした。NISAやiDeCoの制度、ドルコスト平均法、リスク許容度、複利、このあたりは経験で体感している部分が多くて、教科書はその答え合わせという感じ。

ところが、不動産と相続については完全に未知の領域でした。

路線価の計算式を見た瞬間、何が起きているのかまったくわからなくて、数秒間、本当に文字が頭に入ってこなかった記憶があります。8年やってきたという自信が、参考書の1ページで崩れた感じ。恥ずかしいとか焦りとかじゃなくて、なんかこう、じわっとした、うまく言えない感覚。

固定資産税の算出根拠とは何か。路線価とは何か。借地権と借家権はどう違うのか。建ぺい率と容積率は何のためにあるのか。普通借家契約と定期借家契約の違い。

相続のほうも同じで、法定相続人の範囲、法定相続分の計算、遺留分、相続放棄の期限、贈与税と相続税の関係、暦年贈与と相続時精算課税制度の選択、配偶者の税額軽減。

これらの大半は、教科書を読むまでまったく頭に入っていませんでした。「あ、自分はこの領域に関しては、完全に素人なんだな」と参考書の中盤で気づきました。

正直、最初は「この分野、自分に必要なんだろうか」とちょっと思っていました。家を買う予定はないし、親が大金持ちというわけでもない。試験のために覚えるだけで、人生で使わない知識じゃないかと。

その認識は、勉強が進むにつれて変わっていきました。

周りで「不動産と相続の話」が聞こえるようになった

FP3の勉強を始めて1ヶ月くらい経った頃から、周りの会話の聞こえ方が変わってきました。

40代も中盤になると、同年代の周辺で親が亡くなるケースが少しずつ出てきます。葬儀の話、家の片付けの話、銀行口座の凍結の話、そして相続の話。前は「大変だね」で聞き流していたのが、急に内容が分かるようになる。「あ、それは小規模宅地等の特例が使えるんじゃないかな」「銀行口座の凍結を解除するのに必要な書類はあれだな」と頭の中で勝手に紐づくようになりました。

友人で家を探している人もいて、こちらの話も急に解像度が上がりました。固定資産税はどうやって決まるのか、住宅ローン控除の条件は今どうなっているか、新築と中古でかかる税金がどう違うか。前なら「大変そうだね」で終わっていた会話に、自分の中で具体的な情報がついてくる。

これが地味に楽しかった。資格の勉強って「試験のため」と割り切るとつまらないんですが、「自分の身の回りの会話の解像度が上がる」と思うと、急に意味が変わります。

参考書を読んでいた時、自分は「使わない知識」だと思っていました。違いました。

自分が知らなかっただけで、世界では普通に話されていたテーマ。知らないから聞こえていなかっただけ。FP3を勉強して初めて、その音量が上がった感じです。

「投資できる人」と「お金に詳しい人」は別物だった

ここで自分の中の見方が少し変わりました。

8年インデックス投資をやってきて、それなりに資産も増えて、後輩からは「お金に詳しい人」として見られている節がありました。本人もどこかでそう思っていたところがあります。

でも、参考書で不動産と相続のページを開いた瞬間に、それは違うとはっきりわかりました。

「投資ができる人」と「お金に詳しい人」は、まったく別物だった。

これ、けっこう胃のあたりがキュッとなりました。

インデックス投資なんて、極端に言えば、毎月決まった額を自動で買う設定をして放置するだけです。これは「お金の世界の一部の領域で機能する仕組みを使い続けている」というだけで、お金まわり全般を理解していることとは別の話。家の購入や相続みたいな、人生の中で数回しか発生しないけど金額の大きいイベントについては、経験のないまま50代まで来てしまう人が、たぶん大半です。自分もそうでした。

これに気づいたとき、ちょっとショックでした。同時に、「だからこそ資格を取る意味がある」とも思えました。前回書いた「経験は資格で答え合わせをするもの」という自分の理屈に、もう一行付け足したい感覚です。

経験のない領域については、答え合わせどころか、まず「知る」ことから始まる。

これも資格の役割でした。

相続税はみんな恐れすぎ、という発見

勉強の中盤、自分の中で一番大きな主張になったのが、これです。

相続税は、世間で言われているほど普通の人には関係ない。

相続税には基礎控除があって、計算式はこうなっています。

基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

例えば配偶者と子1人が法定相続人なら、3,000万 + 600万 × 2 = 4,200万円までは非課税です。配偶者と子2人なら4,800万円。これを超えた部分にだけ相続税がかかります。

もうひとつ、配偶者が相続する分には「配偶者の税額軽減」という大きな制度があって、1億6,000万円までは配偶者にかかる相続税はゼロ。実家の不動産には「小規模宅地等の特例」というのがあって、要件を満たせば評価額が80%減額されたりします。

つまり、よほどの資産家でない限り、相続税は発生しないか、発生してもごく少額。普通のサラリーマン家庭の親世代が遺す金融資産が、基礎控除を超えるケースは多くないはずです。

自分の親も、絶対に超えません。周りの友人と話していても、「うちの親が亡くなって相続税を◯◯円払った」みたいな具体的な話を聞いたことがないんです。みんな普段話さないだけかもしれないですが、それにしても、税理士業界やメディアが煽っている「相続税対策セミナー」の温度感と、自分の周りの現実の温度感には大きなギャップがあります。

書店に行くと「相続税対策の本」が山積みです。タワマン節税、不動産による評価圧縮、生命保険の非課税枠の活用、暦年贈与の駆け込み。これらは確かにテクニックとして存在しますが、そもそも基礎控除を超えない家庭にとっては、対策しようがないんです。対策が必要な家は確かにある。でもそれは、平均的なサラリーマン家庭ではない。

これに気づいたとき、ちょっと拍子抜けしました。FPの試験範囲に「相続」がガッツリ入っているので、もっと身近で「みんなが対策しないといけない大問題」なのかと思っていたんです。実際は違いました。世間で煽られているほどには、ほとんどの人には関係しない領域でした。

不動産・税金書類と電卓

もちろん、税理士の方や不動産屋さんの世界では、対象者向けに丁寧な対策が必要です。否定する話ではありません。ただ、「自分は普通のサラリーマン家庭だ」と思っているなら、相続税にビビる必要はだいたいない。これがFP3を取って自分が一番得た実用的な視点でした。

普通のサラリーマンが今すぐやるべき相続税対策は、たぶんゼロ

ここから読者向けの処方箋を1つ。

平均的なサラリーマン家庭の人が、「相続税対策セミナー」「相続税対策の本」に時間とエネルギーを使うのは、たぶんもったいない。そもそも対象外の可能性が高いので、対策しても効果ゼロです。

その時間があるなら、まずは自分のNISAの枠を埋めることに使ったほうが、明らかにリターンが大きい。新NISAは年間360万、生涯1,800万の非課税枠です。これを夫婦で使い切るだけで、相続税対策の何百倍も家計の手取りが変わります。

「親の相続をどうしよう」と漠然と不安になる前に、まず親の金融資産がだいたいいくらありそうかをざっくり聞いてみる(難しい話なら聞かなくてもいい、貸金庫があるかどうか程度でも目安になります)。3,000万 + 600万 × 法定相続人の数の式に当てはめて、超えそうかどうかをまず計算してみる。超えなさそうなら、相続税対策の本は閉じていい。その浮いた時間でNISAの設定でも確認したほうがよっぽどいい、というのが今の自分の答えです。

ここまで書かなかった気持ちの話はNoteに

ブログとしてはここまでが結論です。

「投資できる人 = お金に詳しい人ではない」と気づいた瞬間の、ちょっとしたショックと、そこから立ち直って「だから勉強する意味があるんだ」と納得するまでの心の動きについては、Noteのほうに書きました。

「8年やってきた自分の知識が、参考書1冊で輪郭が見えるレベルの狭さだった」と知った時の正直な気持ちは、ブログには書ききれない部分があります。本音は別の場所に置いておきます。

結論と次回予告

第2週(勉強・受験編)としての結論をひと続きで書きます。

教材はLECのトリセツ + YouTubeほんださんの2つだけで、たぶん1ヶ月半でFP3に一発合格できました。勉強の中で一番効いたのは「不動産と相続は完全に未知だった」と知れたこと。それまで自分は投資ができることを「お金に詳しい」と勘違いしていたんですが、参考書の不動産パートで自分の知識の輪郭がはっきり見えました。同時に発見したのが「相続税はみんな恐れすぎ」という現実で、普通のサラリーマン家庭は基礎控除のおかげで対象外。ここは時間とエネルギーを使う場所じゃない、というのが今の主張です。

ここからFP2に進みます。FP2は学科と実技の2科目で、自分は1回で受かったわけではなく、一度落ちる経験をしました。次回はその話と、結局FPを取ってみて何が変わったかを書きます。

  • 第1週 動機編 (リンク)
  • 第2週 勉強・受験編(FP3) ← いまここ
  • 第3週 取得後編(FP2と変化)

朝の窓辺と静かな空気

参考書を閉じた最後の朝、奥さんがいつものように起きてきて、「もう次の参考書買ったの?」と聞いてきました。掌の上で踊り続けるFP2編は、また次回。

※本記事は個人の体験談です。資格取得を推奨するものではなく、判断は自己責任でお願いします。税金や相続の具体的な相談は税理士等の専門家へ。

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