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マインドセット · 11分で読める

FP2に1回落ちて分かった。資格は経験の答え合わせだった【FP連載③ 取得編】

FP2に1回落ちて分かった。資格は経験の答え合わせだった【FP連載③ 取得編】

連載①で「経験は資格で答え合わせをするもの」と書きました。連載②で、FP3を取った瞬間に自分の知識の輪郭が広がる音を聞いた話を書きました。

連載③の結論を、先に書きます。

経験+資格=やっと人の役に立てる、という①で立てた式は、本物でした。自分が8年やってきた判断のうち、明確に正しかったものは、FP2のテキストに同じ答えとして書いてありました。読みながら、ペンが何度も止まりました。

ただ、正直にも書いておきます。FP2は、1回落ちました。学科を、時間配分のミスで。

その敗北と、そこから組み直した「答え合わせ」の実感を、連載の最終回として残しておきます。

FP3とFP2は、別の試験だった

範囲は同じです。ライフプランニング、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継。並べると同じ6分野。

でも、深さが2段くらい違いました。

FP3は「制度の名前を覚えているか」が問われる試験です。基礎控除はいくらか、相続税の基礎控除はいくらか、iDeCoの上限はいくらか。3000万円+600万円×法定相続人、と覚えていれば1問取れる。

FP2は「その制度で具体的に税額や条件を計算できるか」が問われます。

たとえば相続税。FP3が「3000万円+600万円×法定相続人=基礎控除」までで止まるところを、FP2は「配偶者と子2人、生命保険金1500万円の非課税枠を使い、各人の納税額を出してください」というところまでやる。電卓がカチカチ鳴る試験です。

過去問を3周回せば取れるだろう、というFP3の調子で臨んで、FP2の学科に弾き返されました。

1回落ちた。時間配分を、間違えた。

学科試験、マークシート、60問。実技は受かった。学科だけ落ちました。

不合格通知が届いた日、自分のPCの前で「あー」と声が出たのを覚えています。あれは恥ずかしい声でした。落ちた理由が、知識不足じゃなくて時間配分のミスだったのが、余計に堪えました。

不合格を受けた静かな机

何が起きたか。試験の前半、保険(リスク管理)の分野に時間をかけすぎました。保険商品の種類、特約、契約者保護機構の仕組み…一つひとつが地味に細かくて、「ちゃんと考えれば解けるな」と粘っているうちに、気づいたら持ち時間がギリギリ。後半の問題は、急ぎ過ぎて思考が雑になった自覚があります。

過去問は本番までに8回分くらい解いていました。問題のパターンと分野ごとの傾向は、頭に入っているつもりでした。それでも本番の時間配分でつまずいた。これは事前準備とは別の、当日の戦略の話です。

2回目の受験では、戦略を変えました。保険(リスク管理)分野は、最後に回す。 細かくて時間泥棒になる分野だと事前に分かっているなら、先に手を出さない。タックスやライフプランニングの計算問題から取りに行って、残った時間で保険を片付ける。

この順序を意識しただけで、見える世界が変わりました。同じ問題を同じ知識量で解いているのに、時間に余裕があるかないかで頭の働き方が全然違う。それでようやく合格しました。

落ちて拾った気づきは、合格より大きかった気もします。試験は知識量だけじゃなく、時間配分込みで「戦略」だと、身体で分かりました。後輩に資格取得を勧める時、これを伝えるかどうかで合格率が変わる気がしています。

答え合わせされた、自分の8年間

ここからが、自分にとって本当に意味のあった部分です。

住宅ローンを繰り上げ返済しない方針 ── 確信が深まった

別の記事で、住宅ローンを2500万円残しているけれど繰り上げ返済はしないと書いています。理由は変動金利0.6%、住宅ローン控除、団信。

これはFP2を取らなくても結論が変わったわけではありません。ただ、ライフプランニング分野とリスク管理分野で、この三要素の関係が体系として整理されているのを読んで、自分の方針への確信がもう一段深まりました。

住宅ローン控除は借入残高×0.7%が所得税から戻る、団信は実質ゼロ円の死亡保険として家族の保障に組み込める、変動金利0.6%は手元キャッシュを投資に回したときの期待リターンと比較できる。「なんとなく繰り上げない方が得」がテキスト上で三要素の連立として書いてあると、自分の判断にもうひと押しが効きました。

劇的な発見というよりは、「これでいいよね」が静かに固まる種類の答え合わせでした。

ドル建て投信を為替ヘッジなしで積み立てる判断

別の記事で、ドル建て投信を約4,000万円、為替ヘッジなしで積み立ててきたと書いています。

ここで大事なのは、あくまで積立投資の文脈での話だということ。一括で大きく外貨資産を入れる場合とは、判断軸が違います。

FP2のリスク管理分野、外貨建て資産の項目に、こう整理されていました。為替ヘッジコストは短期金利差で決まる。長期積立では購入レートが平均化される。だから為替ヘッジは「為替変動の方向が読める前提」でないと、コストとメリットが合わない。

自分の中で組み上がっていたロジックは、もっとシンプルでした。リスクヘッジに手数料を払うぐらいなら、手数料の低い投信を選んで愚直に積み立てた方がいい。為替の上下は積立期間中に平均化される。一方、ヘッジコストは年間でじわじわ効いてくる引き算として残り続ける。長期では、引き算の方が積立の平均化効果より痛い、というのが自分の判断でした。

FP2のテキストは、この感覚を別の角度から裏付けてくれました。「積立投資 + 低コスト + ヘッジなし」の組み合わせがなぜ理にかなっているのか、教科書的に整理された解説で読むと、自分のロジックがもう一段はっきり輪郭を持って見えました。

経験だけだと、自分の判断に絶対の自信は持てません。資格を取って、別の角度から同じ結論に到達できると確認して、初めて声に体重が乗る。これが「経験を資格で答え合わせする」の意味です。

テキストにペンを当てて確認する

相続とタックスは、FP3の倍は深かった

連載②で「相続税はみんな恐れすぎ」と書きました。FP2で勉強して、その主張は変わっていません。ただ、その上にもう一層、知っておいた方がいい世界があると分かりました。

生前贈与と相続時精算課税

子や孫に資産を移すとき、贈与税で渡すか、相続時精算課税(2,500万円までの特別控除)を使うか。FP3では制度の存在を知るだけでした。FP2では「いつ、誰に、いくら、どの制度で渡すと税務上有利か」の設計まで踏み込みます。

自分の親世代から自分への資産移転を、ぼんやりとしか考えていませんでした。FP2の勉強で、これは「相続が発生してから考える話じゃない」と切実に分かりました。

生前贈与の暦年課税、基礎控除110万円。これを20年使えば、2,200万円が無税で移転できる計算になります。これは、制度を知っているかどうかだけの話です。

知らないと一切使われずに終わり、知っていると2,000万円超が動く。資格を取って一番背筋が伸びたのは、ここでした。

所得控除の細部 ── 自分でやっている確定申告の死角

タックスプランニングで一番堪えたのは、所得金額調整控除、不動産所得、雑所得まわりの細部でした。

自分は毎年、確定申告をふるさと納税でやっています。e-Taxに慣れていて、流れもだいたい分かっている、つもりでした。

でもFP2のテキストを読むと、所得金額調整控除(子育て世帯や特定の家族構成で上乗せされる控除)について、自分は要件を確認すらしていなかったことに気づきました。

正確には、自分は要件を満たしていない可能性が高い。けれど「使えるか確認する」発想すらなかった、というのが本当のところです。

経験だけでやる確定申告の限界、というのは、こういう細部に出るのだと思いました。経験は「自分が通った道」だけを知っている狭い情報源で、テキストの目次は「通らなかった道」も全部見せてくれる。

後輩相談の声の出し方が変わった

FP2を取ってから、後輩からのお金相談に答える時の自分の声の出し方が、明確に変わったのを感じます。

以前は経験則で「たしかこうだったような」と答えていました。今は「住宅ローン控除は借入残高×0.7%で13年、年末調整で2年目以降は自動です」と即答できる。

正解を全部覚えているから即答できるわけではありません。自分の経験のうち、どこが教科書通りで、どこが特殊事例だったかが、頭の中で仕分けできるようになった。だから「あなたの状況なら、私の経験はこう参考にしてください」と言える。

いちばん効いているのは「保険」の話

その中で、自分が一番「FP取ってよかった」と実感する瞬間は、別のところにあります。

新人の社員と話していると、保険屋に勧められるまま、要らない保険に入っているケースに、本当によく出会います。社会人になったばかりの20代に、終身保険、医療保険の手厚い特約、独身なのに死亡保障付き、変額保険…と契約書一式を渡されて「これで安心です」と言われたら、知識のない側はサインするしかありません。

ここでFPの知識がデカいです。

「その医療保険、健康保険の高額療養費制度を考えると、月数千円払う価値あるかな」「死亡保障、独身で扶養家族いないなら今は不要じゃない?」「変額保険は保険と投資をくっつけてる商品で、両方の手数料を払う構造になってる。分けた方が安いよ」

こういう話を、雑談の中で根拠つきで返せるようになりました。「やめた方がいい」だけだと響かないけれど、「健康保険にこういう制度があるから、民間保険のこの部分は要らない」と仕組みごと話せると、後輩が自分で判断できるようになります。

これは、FP2の効果として自分の中でいちばん実感がある部分です。お金で得をする話より、お金で損をするのを止める話の方が、後輩への価値として大きい。資格を取った理由のひとつだった「後輩相談の後ろ盾」は、想像していたよりずっと具体的な形で効いてきました。

連載①の最後に、後輩相談で内心「薄っぺらいな」と感じていたと書きました。あの薄っぺらさが、FP2を取った今、ほぼ消えました。声に体重が乗ったから、と言うのが一番近い表現です。

経験+資格=やっと人の役に立てる

連載①で立てた式に戻ります。経験+資格=やっと人の役に立てる。

8年の投資経験は、自分の体験談として語る分には意味がありました。でも他人に「これでいいよ」と勧める根拠としては、正直、薄かった。資格の体系的知識で答え合わせをして、初めて「あなたの状況なら、私の経験はこう使えます」と言えるようになる。

逆に、資格だけで経験がない人の言葉は、自分の中ではあまり響きません。テキスト通りすぎて、現実の判断の重みが乗っていないからです。資格は経験を補強する道具で、置き換える道具ではない。

経験を3年、5年やっている方がもし読んでいたら、一度FP3、できればFP2を取ってみてほしいです。新しい知識を入れに行くというより、自分の判断の答え合わせをしに行く感覚で。

8年経験のある40代でも、テキストを開いて「あ、これ自分のことだ」と思う瞬間が10ページに1回はあります。それを年単位で積み上げてきた人にとって、答え合わせの密度は思っているより高いはずです。

連載の終わりに

朝の4時に起きてゲームをしていた40代が、奥さんの「資格でも取ったら」の一言から、FP3とFP2を取りました。途中で1回落ちました。それでも続けて、参考書を全部本棚に並べると、思っていたより薄い。

その薄い本に、自分の8年分の判断が答え合わせされていた事実は、自分にとって、本当に大きいことでした。

連載は今回で完結します。動機編、勉強編、取得編。読んでくださった方、ありがとうございました。

朝のゲーム時間は、奥さんの一言で参考書時間に変わり、参考書時間は、自分の判断に体重を乗せる時間に変わりました。これが、FPを取って分かったことの、全部です。

Noteには、不合格通知が届いた夜に奥さんへ「軽く」報告した時の内心と、後輩の保険契約書を一緒に見た時のシーンを、本音ベースで書きました。

→ Noteで読む: https://note.com/quiet_wealth/n/n7f3facbdbc94

※本記事は個人の体験談です。資格取得を推奨するものではなく、判断は自己責任でお願いします。

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